平成29年6月16日,刑法の一部を改正する法律案が国会で可決成立し,同年7月13日から施行されています。改正された内容は,性犯罪に関するもので,性犯罪に対する重罰化という社会の要請に応えたものになります。
主な改正点は,次の3点です。
(1)強姦罪という犯罪を廃止して,「強制性交等罪」というあらたな犯罪としたこと
強姦罪は,「暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫」する犯罪でした。そして,刑法は,強姦罪について,「3年以上の有期懲役に処する。」と規定していました。
今回の改正では,「13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて,性交,肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)」をする犯罪にあらため,これを「強制性交等罪」という名称にしました。そして,刑法は,強制性交等罪について,「5年以上の有期懲役に処する。」と規定しました。
具体的に,何が変わったかというと,まず,被害者の範囲が変わっています。強姦罪では「女子」が対象でしたが,強制性交等罪では「者」と改められています。したがって,今後は,男性も被害者になります。
次に,行為態様が,「姦淫」から「性交等」に拡大されました。
最後に,法定刑の下限が,「3年」から「5年」に引き上げられました。
(2)監護者による強制性交等罪というあらたな犯罪類型をもうけたこと
18歳未満の者を監護する者が,その影響力があることに乗じて強制わいせつ,強制性交等をした場合には,強制わいせつ罪,強制性交等罪と同様に処罰されることになります。
これまでは,女子の抗拒不能(物理的,心理的に抵抗が著しく困難な状態)に乗じて姦淫した者を「準強姦罪」として処罰していましたが,親から幼い頃より長期にわたって性的な虐待を受けている子は,親がそのようなことをするのが当然と感じて,およそ抗拒することを考えなくなってしまうことがあることから,準強姦罪では対応できない事例がありました。そこで,抗拒不能を要件としないあらたな犯罪類型をもうけたのです。
(3)強制性交等罪等を非親告罪としたこと
これまで強制わいせつ罪や強姦罪は,被害者の告訴がなければ,公訴提起することができない「親告罪」とされてきました。したがって,検察が,公訴提起する前に被害者と示談をすることができ,被害者が告訴を取り下げれば,事件はその時点で終了ということになっていました。しかし,今回の改正では,被害者の告訴がなくても検察は,公訴提起することができるようになりました。もっとも,検察は,被害者の明確な意向に反した公訴提起をすることはないと思われます。今後変わりうるのは,告訴するかどうかの判断を留保している被害者のケースで,検察は,被害者の告訴がなくても,公訴提起する可能性が出てくるのではないかと思われます。
また,強制性交等罪等が非親告罪化されても,被害者に対する誠実な対応をすべきであることは従来と変わりませんので,可能であれば,早急に被害者と示談交渉をするべきであろうと思われます。
2017年11月04日
刑法の一部改正(性犯罪)について
posted by 大橋賢也 at 14:03| Comment(0)
| 日記
2017年08月09日
この本,おもしろい!「いなくなった私へ」(辻堂ゆめ)
学校が夏休みということもあり,このブログでは初めて,読書感想文的な(あくまで的です)記事を書く気になりました。
今回,おもしろいな〜と思った本は,宝島社から出版されている「いなくなった私へ」(辻堂ゆめ)です。第13回「このミステリーがすごい!」大賞・優秀賞を受賞した作品で,その名の通り,ミステリー小説です。
人気絶頂のシンガーソングライター上条梨乃(かみじょうりの)が,突然自殺をするのですが,本人は別人格として現世で生き返る,しかし他人からは,生前の人格としては認知されない・・・というストーリーです。
私は,普段ミステリー小説を読まないのですが,なんだかおもしろそう,と思って買ったところ,本当におもしろかったです。「上条梨乃ってどんなにかわいいんだろう」,「樹(いつき)君って本当に賢いんだな」,「優斗さんて本当にいい人だな」,などと小説の中にどんどん引き込まれていく感じがたまりませんでした。
藤沢市辻堂出身なので,辻堂というペンネームを付けられているようですが,同じ藤沢市出身としては,応援してきたい気持ちになります。(さっそく,「コーイチは,高く飛んだ」も買いました)
私は,池井戸潤,三浦しをんが好きで,ほとんど全部読んでいますが,そこに辻堂ゆめが加わり,新たな幸せを感じています。
次は,学校が冬休みになった頃に,読書感想文的な(あくまでも的)記事を書こうと思います。

今回,おもしろいな〜と思った本は,宝島社から出版されている「いなくなった私へ」(辻堂ゆめ)です。第13回「このミステリーがすごい!」大賞・優秀賞を受賞した作品で,その名の通り,ミステリー小説です。
人気絶頂のシンガーソングライター上条梨乃(かみじょうりの)が,突然自殺をするのですが,本人は別人格として現世で生き返る,しかし他人からは,生前の人格としては認知されない・・・というストーリーです。
私は,普段ミステリー小説を読まないのですが,なんだかおもしろそう,と思って買ったところ,本当におもしろかったです。「上条梨乃ってどんなにかわいいんだろう」,「樹(いつき)君って本当に賢いんだな」,「優斗さんて本当にいい人だな」,などと小説の中にどんどん引き込まれていく感じがたまりませんでした。
藤沢市辻堂出身なので,辻堂というペンネームを付けられているようですが,同じ藤沢市出身としては,応援してきたい気持ちになります。(さっそく,「コーイチは,高く飛んだ」も買いました)
私は,池井戸潤,三浦しをんが好きで,ほとんど全部読んでいますが,そこに辻堂ゆめが加わり,新たな幸せを感じています。
次は,学校が冬休みになった頃に,読書感想文的な(あくまでも的)記事を書こうと思います。
posted by 大橋賢也 at 10:59| Comment(0)
| 日記
2017年07月17日
訪問販売お断りステッカー作成記念シンポジウム
平成29年7月15日、神奈川県弁護士会が、「地域で防ごう消費者被害」と題して、訪問販売お断りステッカー作成記念シンポジウムを行いました。
訪問販売とは、突然業者が家にやってきて商品等の説明をしたり、契約の勧誘をしたりするため、消費者にとっては不意打ちになり、冷静に判断して契約を締結するかどうかを決めることが難しくなるという点に特徴があります。また、勧誘を望んでいない消費者にとっては、私生活の平穏を侵害されるという側面もあります。
神奈川県内における消費生活相談のうち、平均して10%程度が訪問販売に関する相談であり、年代別に見ると、70歳以上からの相談が毎年1位となっているようです。これは、高齢者が、家にいることが多いことから、ある意味当然の結果なのでしょう。
訪問販売による消費者被害は、不意打ち的に行われる訪問販売において、消費者が、明確に拒絶の意思を示しにくいために発生します。そこで、そもそも訪問販売を希望しない消費者が、訪問販売お断りステッカーを玄関ドア等に貼ることができれば、業者は、そのお宅には訪問することがなくなり、訪問販売による消費者被害を減らすことができるのではないかと考えられます。このような期待から、神奈川県弁護士会は、訪問販売お断りステッカーを作成しました。
ただ、問題は、現在の神奈川県消費生活条例において、訪問販売お断りステッカーを貼ることが、訪問拒絶の意思表示に該当すると、明確に解釈されていないことです。この点は、今後の課題であり、神奈川県弁護士会が、神奈川県と協議を重ねて、条例改正を求めていくべきと考えます(この点については、平成29年6月8日付で、神奈川県弁護士会の会長声明が出されています)。
訪問販売お断りステッカーの配布を希望される方は、神奈川県弁護士会にお問い合わせいただければ、無料で、弁護士会から発送されます(必要部数が大量にならない限り、送料はかかりません)。弁護士会の連絡先は、電話番号045−662−2277です。
これが訪問販売お断りステッカーです。玄関先に貼ってください!

訪問販売とは、突然業者が家にやってきて商品等の説明をしたり、契約の勧誘をしたりするため、消費者にとっては不意打ちになり、冷静に判断して契約を締結するかどうかを決めることが難しくなるという点に特徴があります。また、勧誘を望んでいない消費者にとっては、私生活の平穏を侵害されるという側面もあります。
神奈川県内における消費生活相談のうち、平均して10%程度が訪問販売に関する相談であり、年代別に見ると、70歳以上からの相談が毎年1位となっているようです。これは、高齢者が、家にいることが多いことから、ある意味当然の結果なのでしょう。
訪問販売による消費者被害は、不意打ち的に行われる訪問販売において、消費者が、明確に拒絶の意思を示しにくいために発生します。そこで、そもそも訪問販売を希望しない消費者が、訪問販売お断りステッカーを玄関ドア等に貼ることができれば、業者は、そのお宅には訪問することがなくなり、訪問販売による消費者被害を減らすことができるのではないかと考えられます。このような期待から、神奈川県弁護士会は、訪問販売お断りステッカーを作成しました。
ただ、問題は、現在の神奈川県消費生活条例において、訪問販売お断りステッカーを貼ることが、訪問拒絶の意思表示に該当すると、明確に解釈されていないことです。この点は、今後の課題であり、神奈川県弁護士会が、神奈川県と協議を重ねて、条例改正を求めていくべきと考えます(この点については、平成29年6月8日付で、神奈川県弁護士会の会長声明が出されています)。
訪問販売お断りステッカーの配布を希望される方は、神奈川県弁護士会にお問い合わせいただければ、無料で、弁護士会から発送されます(必要部数が大量にならない限り、送料はかかりません)。弁護士会の連絡先は、電話番号045−662−2277です。
これが訪問販売お断りステッカーです。玄関先に貼ってください!
posted by 大橋賢也 at 10:41| Comment(0)
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